高齢者向け賃貸住宅管理人の叫び

高齢者向け賃貸住宅管理人が日々の出来事を短く叫びます

恐怖!!深夜に現れるゴローちゃん

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週に2回、別の施設で夜勤をしております。

同じような高齢者向けの施設です。

 

夜勤でしか行かないので、一部の人しか会った

事がありません。

 

なぜかというと、ご老人たちは就寝が早いので

勤務に就く時間帯は皆さん寝ていらっしゃいます。

 

ですので知っている方はごく僅かです。

朝食の準備の仕事もありますが、朝食を食べられる

方も少ないので、食べられない方とはほぼ会いません。

 

その中にゴローちゃんというじいちゃんがいます。

 

ご苗字が野口さんというだけで、勝手にゴローちゃんとあだ名を付けてるのですが、このゴローちゃん、

かなりの問題児、いや問題爺でしょうか。

 

日中は、部屋に備え付けてある緊急呼び出しブザーを

5分おきに鳴らすそうです。

 

スタッフが慌てて駆けつけると、『心臓が止まります、救急車を呼んで下さい』と言うそうです。

 

最初は心配して呼んでいたそうですが、まったく

問題なし。病院で怒られ、救急隊員にたしなめられ

大変だったそうな。

 

これを連日するそうで、スタッフも参ってると

いう事を聞いていましたので、当然自分もビビッて

いました。

 

夜間は安定剤を飲んでいる筈だから大丈夫だと

思うけど、もし何かあればなんとか頑張って

下さいねと言われてました。

 

おいおい、それでももし本当に具合が悪ければ

どうすんのよ?と思いながら、勤務日は何も

ありませんようにと祈っています。

 

朝は、デイサービスの女性がお迎えに来るんですが

これが自分好みで、毎回会うのが楽しみな位です。

 

少しぽっちゃりの色っぽい30代の方なんですよ。

これくらいの楽しみしかない環境という淋しさ

ですが、毎回ウキウキしてます。

 

ゴローちゃん、毎回このヘルパーさんに連れて

行ってもらい羨ましいなぁと不謹慎に思うばかり

です。

 

余談が長くなりすみません。

 

今回の夜勤で仮眠をとっていて、うとうととしてる

時に気付いた音がありました。

 

??何の音??

ひたひた、ズズーズ、ひたひた、ズズーズという

感じでその音が近づいてきます。

 

時間は深夜2時前くらいです。

誰か歩いてる?気持ち悪っ!って思ってると

仮眠部屋のドア前で音が止みます。

 

おいおい、勘弁しろよと思ってるとドアがスーっと

開き暗闇に誰かが現れます。

 

マジ?

背筋が凍るというのはこの事かと思うくらいです。

 

恐る恐る、誰?って思ってよく見るとなんと、歩行器を押しながら歩いてきたゴローちゃんではありませんか。

 

勘弁してよ!何?何なの?

 

まさかあの心臓止まる攻撃か?

やめてよ~。

 

仕方なく恐る恐る、どうされましたか?と聞くと

 

『散髪の日は決まりましたでしょうか?』

 

はぁぁ???

 

何それ?

 

散髪ぅ?そんな引き継ぎ事項も聞いてないし・・

 

しかもこんな深夜に聞いてくるような事かよって

思うばかりです。

 

もう訳わからないので、「聞いていないんですよ、

明日の朝に確認しましょうね。」

 

と伝えると、オウム返しのように散髪の日は・・・

って言うのです。いやいや聞いていないから

と伝えても、そんな筈はないと譲らないのです。

 

同じ説明しかできないし、部屋に一旦戻ろうって

言ってもダメなんですよ、これが。

 

しかもずっと無表情で言うので気持ち悪いのなんの。

どうしよう、マネージャーに電話しようかと悩んで

いると、ある事を思い出しました。

 

ある時、マネージャーがゴローちゃんがあまりにも

我がままを言うならこう言って下さいと

 

『そんな我がまま言うなら、あのヘルパーさんに

今から迎えに来てもらいますよ』

 

って言ってみて下さいと笑いながら教えくれた事を

思い出しました。あのヘルパーさんは、自分好みの

人の事だよなって思いながら聞いてました。

 

なので、無表情で立ったまま動こうとしない

ゴローちゃんに試しに言ってみました。

 

『お部屋に帰らないのなら、あのヘルパーさんに

今から来てもらうよ!』って・・・・

 

すると無表情の顔の目が急に見開いた感じ?、

例えるなら、目がハッと見開くようなという

表現でしょうか。

 

そのままくるっと、無言で去って行きました。

あれだけ聞く耳を持たなかったゴローちゃん。

 

今のは何だったんだ?

ゴローちゃん、どんな意味が隠されてるんだ?

 

ゴローちゃん、あのヘルパーにどんな事されてるんだ?

 

何があるんだ?教えてくれぇ、ゴローちゃん!!

と思いながら姿が見えなくなるまで見ていました。

 

あのヘルパーにどんなプレー、いやいや失礼。

どんな事されてんだぁ~!と妄想しながら

まったく眠れなかった本日の夜勤でした。

 

なんて刺激的な仕事なんだ!

 

うちの「Terrible driver」

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うちのアキばあちゃんは83歳、とても元気です。

ただ痴呆が進みつつあり、同じことを何回も

聞いてきたり、忘れ物が多くて心配な毎日です。

 

元気なアキばあちゃん、毎日電動カートに乗って

買い物に行ってます。

 

これが運転荒い荒い、もう見ていられません。

保険にも未加入なので心配になり、ご親族にも

伝えるのですが気にしていないご様子。

 

まさに「Terrible driver」です。

このばあちゃんには適用してOKです。

 

このアキばあちゃん、実に涙もろい、何かあればすぐ泣いちゃう。

 

管理人さんのお母様は何歳?って聞いてくるので

アキばあちゃんと一緒なんですよと伝えます。

 

あら、お元気なの?と質問してきますので、残念

ながら7年前に他界したんです。

 

まぁそうなのって泣き始めます。

けっこうな泣き方です。

 

ありがとうね、アキばあちゃんが泣いてくれて

うちの母も喜んでいますよと伝えます。

 

実は今日で同じシチュエーションが8回目です。

8回泣かれているんです・・・

 

自分も学習しろよっていう話ですが、つい忘れて

本当の事を伝えてしまう危機管理の無さ。

 

今度から生きてることにしよう!

 

と誓った昼食前の出来事でした。

 

 

恐るべし!2人のバアチャン

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うちの施設には大正生まれのバアチャンが2人います。

 

今日の夕飯が済んだあと、外のベンチに座り談笑してる

大正ツィンレディース。

 

なんと微笑ましい光景かと思ってよく見ると、2人とも

補聴器を付けていない。

 

耳が遠くて、補聴器無しではまず意志の疎通ができない

2人なのに・・・

 

笑顔で喋べり合ってるあの光景はなんだったのか。

 

読唇術

 

いやまさか

 

テレパシー?

 

まさかその場の雰囲気だけとか・・・

 

想像を掻き立ててくれるうちの大正ツィンレィースでした。

支配人と呼ばれる私

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ご挨拶

 

 

じいちゃん、ばあちゃん向けの賃貸住宅管理人を

何の因果かやることになってしまった私。

 

この仕事に就いて、ようやく半年が過ぎようとしています。だいぶ慣れてきて、仕事のコツも掴んできたような

気がしております。

 

入居者の皆さんからは、管理人さんと呼ばれております。

ほぼ半数の方達からはそう呼ばれていますが、残りの

方は私の苗字で呼んでいただいてます。

 

ですがごく一部のじいちゃん、そしてごく一部のヘルパーさんからは支配人と呼ばれています。

 

なぜ支配人と呼ばれるようになったのか?

このお話を一発目にしたいと思います。

 

意識朦朧のじいちゃんが・・・

 

いつも問題を起こすじいちゃんがいます。

アルコール中毒だったようで、身内からはほぼ

見放されています。

 

他人の部屋へ間違えて入ってしまう、服を着たまま

お風呂に入ってしまう。洗濯石鹸を撒き散らす。

もう数え切れません。

 

毎回苦情が舞い込み、本人に注意します。

すみません、すみません、同じ事の繰り返し。

 

人見知りで他人とは会話せず、発する言葉といえば

うるさい!と叫ぶくらいです。

でもなぜか私にだけはよく喋ってくれるのです。

 

アル中なのでお金を渡すとお酒を買ってしまう恐れが

ある為に、ご身内はお金を渡しておりません。

食事は施設の食堂のみ、嗜好品も買えない状況です。

 

ある日、昼食の時間になっても現れません。

寝てるか?と思い、部屋へ呼びに行きました。

 

コンコン、ノックしても反応なし。鍵も掛かっている。

もしかして?と思いマスターキーで開けます。

 

覗いてみるとベッドで寝ています。

なんだ、寝てるだけか・・・

 

悪いと思いましたが昼食時間、ゆすって起こしますが

起きない。ん?様子がおかしい?

 

ちょっと強めの声で〇〇さん!大丈夫?

するとうっすら目を開けるもうつろです。

起きようとするもフラフラ状態。

 

これはヤバイかも、脳の疾患か?

起きようとするも制止し、状態を確認します。

 

呂律も回らず、目も半開き。こりゃマズイ、救急車か?

すると運良く訪問看護の看護士さんが現れました。

 

すぐ事情を説明し状態確認をしてもらうことに。

何回も呼びかけながら、血圧や脈拍を確認。

手の動きも確認しました。

 

看護士曰く、おかしい、特に異常はないがドクターに

診て貰おうかと喋っていると、ん?んん?微かにお酒の

匂いが?と看護師が言い出しました。

 

私はそれはないと思うよ、お金持っていないし。

買う事もできない筈だからと。

 

看護師はいや、絶対お酒だと思うけど。

本人の意識は朦朧のままで、看護士が私を指差して

この人は誰だかわかる?と質問すると・・・

 

支配人さん!』??二人ではぁ~?です。

 

じいちゃん酔ってクラブと勘違いしてる!と思い

お酒飲んだ?飲んだでしょ?と問い詰めると酔いが

覚めたのかハッという顔してしぶしぶ飲んだと告白。

 

呆れてそれから延々と説教です。

どこでお酒を仕入れた?どこに隠してる?

ここからは頑なに喋りませんでした。

 

ただごめんなさい、もうしませんと言うばかり。

こちらもこれ以上はできる立場でもないので

仕方なく部屋を出ました。

 

部屋から出ると看護師が腹抱えて笑っています。

支配人だってぇ?もう最高!

 

今日から支配人って呼ぶからとニヤニヤしながら去って

行きました。

 

案の定、その病院のスタッフや関係者からは支配人と

呼ばれるようになってしまいました。

 

『支配人~!』と声が掛かるとすかさず、『は~い!お客様』と答えるようにして、病院とのコミュニケーションを図るように努力しています。

 

お陰で無理も聞いてもらえるようになりましたとさ。

こんな営業も大切な仕事です。

 

いきなり長文でしたが、お読み頂きありがとうございました。このアル中じいさん、またすぐ事件を起こすのでした。

 

それはまた次回に。