高齢者向け賃貸住宅管理人の叫び

高齢者向け賃貸住宅管理人が日々の出来事を短く叫びます

支配人と呼ばれる私

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ご挨拶

 

 

じいちゃん、ばあちゃん向けの賃貸住宅管理人を

何の因果かやることになってしまった私。

 

この仕事に就いて、ようやく半年が過ぎようとしています。だいぶ慣れてきて、仕事のコツも掴んできたような

気がしております。

 

入居者の皆さんからは、管理人さんと呼ばれております。

ほぼ半数の方達からはそう呼ばれていますが、残りの

方は私の苗字で呼んでいただいてます。

 

ですがごく一部のじいちゃん、そしてごく一部のヘルパーさんからは支配人と呼ばれています。

 

なぜ支配人と呼ばれるようになったのか?

このお話を一発目にしたいと思います。

 

意識朦朧のじいちゃんが・・・

 

いつも問題を起こすじいちゃんがいます。

アルコール中毒だったようで、身内からはほぼ

見放されています。

 

他人の部屋へ間違えて入ってしまう、服を着たまま

お風呂に入ってしまう。洗濯石鹸を撒き散らす。

もう数え切れません。

 

毎回苦情が舞い込み、本人に注意します。

すみません、すみません、同じ事の繰り返し。

 

人見知りで他人とは会話せず、発する言葉といえば

うるさい!と叫ぶくらいです。

でもなぜか私にだけはよく喋ってくれるのです。

 

アル中なのでお金を渡すとお酒を買ってしまう恐れが

ある為に、ご身内はお金を渡しておりません。

食事は施設の食堂のみ、嗜好品も買えない状況です。

 

ある日、昼食の時間になっても現れません。

寝てるか?と思い、部屋へ呼びに行きました。

 

コンコン、ノックしても反応なし。鍵も掛かっている。

もしかして?と思いマスターキーで開けます。

 

覗いてみるとベッドで寝ています。

なんだ、寝てるだけか・・・

 

悪いと思いましたが昼食時間、ゆすって起こしますが

起きない。ん?様子がおかしい?

 

ちょっと強めの声で〇〇さん!大丈夫?

するとうっすら目を開けるもうつろです。

起きようとするもフラフラ状態。

 

これはヤバイかも、脳の疾患か?

起きようとするも制止し、状態を確認します。

 

呂律も回らず、目も半開き。こりゃマズイ、救急車か?

すると運良く訪問看護の看護士さんが現れました。

 

すぐ事情を説明し状態確認をしてもらうことに。

何回も呼びかけながら、血圧や脈拍を確認。

手の動きも確認しました。

 

看護士曰く、おかしい、特に異常はないがドクターに

診て貰おうかと喋っていると、ん?んん?微かにお酒の

匂いが?と看護師が言い出しました。

 

私はそれはないと思うよ、お金持っていないし。

買う事もできない筈だからと。

 

看護師はいや、絶対お酒だと思うけど。

本人の意識は朦朧のままで、看護士が私を指差して

この人は誰だかわかる?と質問すると・・・

 

支配人さん!』??二人ではぁ~?です。

 

じいちゃん酔ってクラブと勘違いしてる!と思い

お酒飲んだ?飲んだでしょ?と問い詰めると酔いが

覚めたのかハッという顔してしぶしぶ飲んだと告白。

 

呆れてそれから延々と説教です。

どこでお酒を仕入れた?どこに隠してる?

ここからは頑なに喋りませんでした。

 

ただごめんなさい、もうしませんと言うばかり。

こちらもこれ以上はできる立場でもないので

仕方なく部屋を出ました。

 

部屋から出ると看護師が腹抱えて笑っています。

支配人だってぇ?もう最高!

 

今日から支配人って呼ぶからとニヤニヤしながら去って

行きました。

 

案の定、その病院のスタッフや関係者からは支配人と

呼ばれるようになってしまいました。

 

『支配人~!』と声が掛かるとすかさず、『は~い!お客様』と答えるようにして、病院とのコミュニケーションを図るように努力しています。

 

お陰で無理も聞いてもらえるようになりましたとさ。

こんな営業も大切な仕事です。

 

いきなり長文でしたが、お読み頂きありがとうございました。このアル中じいさん、またすぐ事件を起こすのでした。

 

それはまた次回に。